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【悲報】令和3年『博士課程学生支援』はまったく本質を無視したお飾り政策だ!?

【悲報】令和3年『博士課程学生支援』はまったく本質を無視したお飾り政策だ!?

博士課程学生支援 約7000人対象 1人年間290万円ほど支給へ

2020年12月20日、NHKが報じた博士課程学生支援のニュース。大学院生なら注目しないわけがないビッグニュース。

しかし、ちょっと考えてみれば、素直には喜べない?内容かもしれません。。

月間20万円×12ヵ月+研究費50万円ってことは、学振DCの採用者を7,000人増やすってこと?? 博士課程の学生は7万人以上と言われていますが、そのうちの10分の1が救われるってことか…。

正直、意味がわかりません。。

そもそも、大学授業料が上がり続けていることや、奨学金と言う名の学生ローンが若者の重荷になっているとした既存の問題に触れずに、「博士学生は経済的に苦しいから10人に1人に対して経済支援しますよ」って、本質的な問題の解決になっていない。

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日本学生支援機構JASSOは奨学金の遅延損害金により年間約39億円もの収入を得ています

そもそも奨学金制度は内閣府のテコ入れにより若者への貸付事業を拡大させた経緯があります。

こうした問題が現在の少子化問題、若者の貧困問題にダイレクトに影響していることは間違いありません。

博士学生は経済的に苦しい状況にあるのは間違いありませんが、その根底には大学授業料や奨学金という名ばかりの学生ローンの存在が影響しています。

こうした問題に触れずに、「博士学生の10人に1人に経済支援します!!」って、いくらなんでも無茶苦茶だし、博士学生の経済苦が政治利用されているように思ってなりません。。

 

こうした問題は博士課程を経験していなければ、理解が難しい問題です。

本質的な部分を理解できる人が少ないからこそ、政治利用されやすいポイントになってしまうと危惧しています。

同じようなことが2020年10月にもありましたよね。
→ 後半部分で議論しています。

 

さて、本記事では、今回の『博士課程学生支援』は大学院生にとって素直に喜んでいい問題なのか、という視点から考えていきたいと思います。
※もう結論は出しちゃいましたが…。

  • 令和3年から始まる『博士課程学生支援』の3つの支援事業
  • 【前例あり】博士学生の経済苦を政治利用している疑い

 

厳しい言い方をすれば、博士学生の10分の1に対して経済支援をしたところで、彼らはそもそも学振DCに漏れた人材であるため、研究者としての将来的な展望は見込めない。

つまり、博士単位取得退学までの延命治療にしかならないと思っています。

だからこそ、別の意図があるのではないか(博士学生の経済苦を政治利用しているだけではないのか)と疑ってしまいます。。

 

簡単に私の自己紹介を。

☑ 学部4年+大学院5年で物理学博士号を取得
☑ 某大学の研究機関でPDとして勤務(5年任期)
☑ PDの給料は360万円(年収)

 

では、一緒に考えてみましょう。

令和3年から始まる『博士課程学生支援』の3つの支援事業

≫ 続きをABEMAプレミアムで視聴する

まず、今回の『博士課程学生支援』について、誤解されているポイントを明確にしておきます。

今回の『博士課程学生支援』事業では、博士学生を国が支援するものではなく、博士学生を支援しようとする”大学を国が支援”するという事業です。

つまり、現状の学術振興会の特別研究員制度(DC)とは本質的に異なるものである、と言うことです。

これがどういうことかと言うと、大学院によって支援を受けられるかどうかが大きく左右される可能性がでてきます。

本来、優秀な博士が多くいるはずの東大や京大は、博士の在籍数が多いため、経済支援を受ける競争率が高いけど、博士の在籍数が少ない大学院では競争率が低いため経済支援を受けやすい可能性があります。

DC制度は、学術振興会が博士学生を研究実績を基に審査し経済支援するものです。

しかし、今回の『博士課程学生支援』は、国が大学を補助するものであるため、大学によって経済支援できる学生枠(人数)が決まる可能性がある。

つまり、優秀な博士学生が支援を受けられず、劣等な博士学生が支援を受けることになりかねない状況が出てきます。

これでは、研究者としての実力も将来性もない博士学生に無駄金を投じるだけになってしまうだけです。

 

元ポスドクから重要なアドバイス

大学院で学振DCに採用されなければ、研究者としてのキャリアはほぼ絶たれたと思って間違いありません。“就職”を考えましょう。

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冗談ではありません。受け入れがたい事実ですが、これが現実です。

現状で学振DCに採用されていない学生は“研究者としてのキャリアは絶たれた”と考えるべき。つまり、研究者として素質がないってこと。

採用されない言い訳はいくらでもできますが、運も含めて実績です。早かれ遅かれ気付く時が来ますので、悪あがきしない方が将来のためです。。

 

学振に採用されない研究者の素質がない博士学生を救うことに意味があるのか。

研究者としての素質がない博士学生を経済支援することは、博士単位取得退学までの延命治療にしかなりません。

その結果、研究者としての素質がない博士学生の社会進出の機会を奪ってしまうことにならないのか…と危惧しています。

研究者として素質がない博士学生が生きていけるほど、現実は甘くないのです。

 

さて、『博士課程学生支援』の3つの事業を確認してみましょう。

①大学フェローシップ創設事業

修士課程から博士課程への進学者1,000人に対して、生活費と研究費を支援する新事業。

  • 対象者:1,000人
  • 生活費支給額:180万円、研究費:50万円
  • 開始時期:令和3年4月~

本事業は国が博士学生を支援するものではなく、博士学生を支援する大学に対して国が補助金を出す仕組みになっています(国からの補助率は80%)。

そのため、対象となる学生の審査・選考は各大学に委ねられると思われます。

②創発的研究支援事業の博士支援強化

創発的研究とは。

破壊的イノベーションにつながるシーズを創出する潜在性をもった科学技術(人文科学のみに係るものを除く)に関する研究分野を対象に、失敗を恐れず長期的に取組む必要のある挑戦的・独創的な研究。(引用元:科学技術支援機構)

リサーチアシスタント(RA)に採用することで支援する。

RAとは、博士学生の所属機関の教育・研究のための助手業務に就くことで、大学が博士学生に対して給与を支給する経済支援。

ただし、当博士学生が所属する研究機関(研究室)が科研費などの研究費を得ていなければ、RAを採用することができないため、大学からの経済支援制度というよりは、所属する研究室の規模によってRAによる経済支援を受けられるかどうかが決まってくる。

  • 採用人数:800人分
  • 生活費支給額:240万円
  • 開始時期:令和3年4月~

今回の創発的研究支援事業の博士支援強化では、RAに当てることができる研究予算を各大学に補助するものと考えられます。

③博士支援強化事業

プロジェクトリーダー(PI)になるような博士に対して支給する。

  • 採用人数:6,000人分
  • 生活費支給額:240万円、研究費:50万円
  • 令和3年の秋頃~

これはちょっとよくわかりません。。

PIになるかどうかは、その博士学生を指導してきた教授などの指名によって、形式上という形で「本研究プロジェクトのPI」とするだけです。

つまり、PIになるかどうかは、本質的な問題ではないため、何を基準にプロジェクトリーダーとするかに疑問が残ります。。

博士学生の経済苦を政治利用している疑い

これまでにない大規模な経済支援とはいえ、博士の10分の1の生活を支えようという経済支援が何を意味するのかが理解できません。

ややこしい制度を3つも作るより、学振DCの採用枠を増やせばいいだけ。

それなのに、なぜ3つのもややこしい支援事業を作るような複雑なことをしようとしているのか。

 

これって、博士学生への経済支援って表向きに公言しているだけで、博士学生の経済苦を政治利用しているだけなのでは??っと思ってしまうな。

 

同じようなことが2020年10月にもありましたよね。

引用元:https://www.komei.or.jp/komeinews/p123337/

この応援金とは名ばかりの経済政策の内容は耳を疑うものでした。。

 

2万円給付対象者
※大学入学共通テスト検定料1万8千円相当額

  • 20213月に高校卒業し就職or進学する高校生:115万人
  • 高校卒業後2浪までの浪人生:約11万人

⇒ 計125万人

 

つまり、センター試験受験相当額を給付するなら、約252億円が必要になります。

  • 126万円×2万円 = 252億円

しかし、公明党が計上した予算は約380億円

本来必要となる給付金額353億円+128億円を財源として必要とするのでなぜなのでしょうか!?

この問題についてはABEMAプライムでも取り上げていましたね。

≫ 続きをABEMAプレミアムで視聴する

 

もし受験生の経済負担を軽減するための給付金なら、センター試験料を国が一括で負担すればいいだけ。振込手数料で128億円もかかるわけないよね。つまり、128億円は人件費や外部委託費にあてられるってこと。

 

これって、表向きは大学受験を目指す高校生&浪人生への経済支援としているだけで、実際はその裏で利益を取る政治家がいるってことですよね。。

今回の『博士学生経済支援』も同じよう構図になっている気がしてならないのは、私だけでしょうか。。

 

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