前参院選で落選した山本太郎氏が代表を務めるれいわ新選組が政策の一つに掲げる「奨学金徳政令」。
今年7月の参院選直前にTwitter上でトレンドにも上がるほど話題になった奨学金徳政令ですが、選挙後はその話をまったく聞くこともなくなりました。
しかし、れいわ新選組HPの製作には上から3番目にしっかりと明記されたままであるため、この政策の話がなくなったというわけではなさそうです。
- 参考リンク:れいわ新選組/政策
奨学金残高が800万円ほどある私にとっては注目すべき政策のため今後の動向についてもしっかり追っていきたいものの、しばらく動きはなさそうですね。
そんなこんなで再び奨学金徳政令について、私なりに思う事を綴らせてもらおうと思います。

目次
れいわ新選組が掲げる奨学金徳政令って何?
山本太郎氏の熱い演説をお聞きください。
山本太郎氏の主張
- 教育を受けたいと思う若者に教育を受けさせるのが国の役目であり、それが未来の日本を背負う若者に対する先行投資。
- 若者に借金を背負わすことで金融機関に年間340億円の利息収益を計上させている。
- 将来給料がいくらになるかもわからない状態の若者に借金を背負わすこと自体がおかしなシステム。
- 若者の貧困問題が深刻化する上に奨学金返済まで重なることが、独り立ちできずに少子化が加速する根本的な原因となっている。
熱い演説に心が揺さぶられるかの様です。
しかし、こう感じるのは奨学金の借金を背負う身分にあるからなのでしょうか。
もしも、奨学金とは無縁の人生であればどう感じていたのか、正直予想ができません。
もちろんこの政策を冷ややかな目で見ている人がいることも事実であり、その気持ちも理解できます。
「借りたもんは返せよ」って、まぁまぁ当然の事ですよね。
しかし、日本の奨学金制度はそんな単純な話で片づけられるものではないということをご理解していただきたいんです。
『返せないお金』を借入することができてしまう奨学金制度
奨学金徳政令と言えば、耳を塞いでいても聞こえてくる否定的な声の数々…。
- 借りたもんは返すのが当たり前。
- 奨学金で遊びほうけた学生がいるもの事実。それをチャラにするのはおかしい。
- 私は頑張って奨学金を返済したのに、まだ返済できていない人だけチャラにするなんて不公平にもほどがある!!
- 私は奨学金を借りなかったけど、返さなくていいなら借りておけばよかった。
奨学金借入の内訳は以下の通りです。
学部生・第2種 | 4,800,000円(+利息) |
---|---|
大学院修士・第1種 | 1,200,000円 |
大学院修士・第2種 | 2,112,000円(+利息) |
大学金博士・第1種 | 4,392,000円 |
借入総額 | 12,504,000円(+利息) |
(→ 詳細はこちらをご参照ください)
自称トップ奨学生であり、奨学金に対する意識は人一倍強いです。
だからこそ、みんなに伝いたいし考えてほしい日本の奨学金制度。
そもそも、なぜにこんなに借りる事が出来たか。
奨学金の借入をしている方ならご存知かと思いますが、奨学金は簡単な書類に名前と判子を押せば借り入れできてしまいます。
これは冗談ではなく、真実。
しかし当時の私には、大学院で博士号を取得した後は、研究員としての固定給で月35万、これまでの研究過程で培った力を生かして月20万の事業収入、計55万円の月収を想定しており、月額5万5千円の返済が続いても全く問題にならないという考えがありました。
しかし、人生はどう転んでいくかわからないでこぼこ道を転がるもので、気づけばこんな状況に転がってきていました。
将来何者になるかもわからない、給料がいくらもらえるかもわからない若者が1000万円以上のお金を簡単に借りれてしまうんです。
例えば、銀行で融資を受ける場合は現在の収入や借入目的、返済計画を明確に示さなくてはなりません。
それでも融資を断られる場合があります。
山本太郎氏は、奨学金のシステムがまかり通っていること自体を国がやっている武富士だと比喩しています。
それは、奨学金制度を運営する日本学生支援機構JASSOは奨学金の利息および延滞金により年間約364億円もの収入を得ており、その運用資金は国による事業費として計上されているためです。
若者の貧困問題に追い打ちをかける奨学金
現在、日本の奨学生は555万人いるようです。
この数字は、都道府県別人口数で7位にある兵庫県の546万人よりも多い状況になっています。
ちなみに、全国最下位の鳥取県の人口が55万人ですから、ざっくりその10倍の人数に達しています。
もちろん、私の様に奨学生番号をいくつか持っている方がいると思われるため、のべ人数になることは間違いありませんが、大学院進学率を考慮しても学部生数と比較すれば圧倒的に少ないため、500万人くらいにはなるでしょう。
これだけの若者が借金を背負って社会に出てきているわけです。
にもかかわらず、新卒初任給、その後の昇給幅を考慮しても現状は厳しい限りであると察します。
実質賃金が上がらないにも拘らず、社会保障や消費税の増税という苦しい状況の中で結婚・育児を積極的に考えられなくなるのは当然であり、少子化が進む根本的原因にもなってるとも指摘されています。
しかし、奨学金制度はそもそも少子化対策の一環として推し進められ、多くの若者に奨学金という名ばか多額の学生ローンを普及させたのです。
奨学金徳政令を否定する人は自分に得がないから???
ここで、「借りたもんは返せ」という意見をお持ちの方に反感を買うような意見を綴らせていただこうと思います。
そもそも、この奨学金徳政令は若者のの消費の落ち込みを改善して景気を盛り上げることを目的としています。
つまりは、過去に例を見ない日本の長期間におよぶ不況から脱するための一つの政策であり、日本の失敗した少子化対策としての狙いもあります。
そういった日本の抱える重大問題に広い視野をもって取り組む政策に対して「すでに自力で返した人もいるんだから不公平だ」とか、「そもそも私は借りてないから借りた人が得するなんておかしい」などという意見は筋違いといえるでしょう。
国の存続の問題を個人の損得勘定という狭い視野で意見するなら、政治家が私利私欲のための政治をしても文句は言えなくなってしまいます。
そもそも、奨学金徳政令により一般市民が被る損失はないはずです。
要するに「あの人だけズルい」という感情ですよね。
では、生活保護を受けている人はどうなるのでしょうか。
貧困に陥るのは自業自得であるとの意見もあるともいますが、そうした人達のセーフティーネットを国は用意しています。
さらには児童保育手当や保育園無償化などもどう考えますか?
子供がいない大人からすれば、まったく関係がなく自分に得がない政策ですよね。
「これら社会福祉的政策と奨学金徳政令は別問題だ」という意見がでてくると思います。
私もそう思います。
というもの、現状の奨学金制度自体が悪質なシステムである可能性があり、極めて早急に対処すべき問題であると思うからです。
アメリカでも浮上した奨学金徳政令
みなさんご存知でしょうか。
2020年のアメリカ大統領選に民主党から出馬を表明したサンダース上院議員という方も米国内の学生ローンをすべて免除する政策を発表しているのです。
学生ローン免除の対象者は4,500万人にも上り、日本の奨学生の8倍となります。
おそらく、山本太郎氏が掲げるこの政策は若者の人気取りのパフォーマンスだと思われた方もいるかもしれませんが、アメリカでも同様の問題を抱えており、それを国が対処すべきと考える政治家がいるということです。
アメリカで実現するとすれば、山本太郎氏以外からも徳政令の有効性について声を上げ始める政治家がでてくるかもしれません。
以上になります。
また、進捗があれば本議題を取り上げたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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