奨学金

給付型奨学金から考える奨学金徳政令|JASSOは学生を支援する気はない

給付型奨学金から考える奨学金徳政令|JASSOは学生を支援する気はない
大学進学が決まった学生のみさなん、奨学金を利用する予定はございますか?? 事前に情報を収集し、計画的な奨学金のご利用をご検討ください。

大学進学と同時に考えなければいけないのが奨学金についてです。

しかし、大学入学時の19歳の若者にとって、卒業後の返済を見据えて借入をどうするべきかを検討するには、人生経験、知識に乏しく、現実的に難しい問題ですよね。

しかし、社会はそう甘くはないようです。

自身で情報収集しなければ、必要な奨学金さえも申請するタイミングを逃してしまいます。

そんな奨学金に関する問題が昨今注目を集め始めています。

その中でもやはり気になるのが山本太郎氏掲げる奨学金徳政令

引用元:れいわ新選組,政策

借りた奨学金の返済が不要になるという耳を疑う様な政策です。

しかし、これは突拍子のない政策ではなく、ちゃんと日本社会の現状の問題を正確に捉えた上でその解決策の一つとなり得る政策として考えられるものなのです。

実際にアメリカでも次期大統領選挙に出馬する議員の方が学生ローンの無償化を公約に掲げているほど、奨学金(学生ローン)は国をあげて取り組むべき問題となっています。

さて、そうした世論がある一方で、2020年からスタートする給付型奨学金

「給付型奨学金が日本でも導入されれば、奨学金徳政令や大学授業料の問題などすべて解決するよね」っと考えたあなたは極めて浅はかな考えだと言わざるを得ません。

または「金あるやつが大学にいけばいいじゃん」と思ったあなたにも考えてほしい。

日本はどうあがいても学歴社会。そのうえ大学授業料が年々増加傾向にあり、それを支払うために普及している奨学金の実態は『名ばかりの学生ローン』。これは明らかに深刻な日本の教育問題の実情であるということ。

例えば、ヨーロッパ諸国では大学の授業料無料化、そして給付型奨学金が一般的になっているにもかかわらず、日本はそうした世界の流れに逆行しているんです。

これらの問題は今や個人の問題ではなく、日本の貧困問題、そして少子化問題の根本的な要因として考えざるを得ない状況になっています。

もはや手遅れと言ってもいいこれらの問題を抜本的に解決する政策として奨学金徳政令が注目されています。

そうは言っても借りたもんを返すのは当たり前のことだ。

確かにその通りかもしれませんが、奨学金については国の政策の問題が関係してくるため、もはや個人の問題ではなく、社会の問題として捉えなければいけません。

例えば、あなたは「子供産んだのは本人の責任だろ?? 児童手当をあてにするなよ」と言えますか?? 答えは”ノー”であり、それは”子供”が社会にとって財産になるという社会通念があるからではないでしょうか。

しかし、その子供を産めない問題が少子化問題であり、その要因に奨学金制度が指摘されているのです。

要するに、『奨学金徳政令』も『児童手当』も解決すべき課題は同じということ。

奨学金徳政令に関する否定的な意見は、「自分が得しない(=損している)」という不満からでてくる意見であり、まったく本質を得ていません。

個人の損得勘定ではなく、社会の問題としてどうしたら最善策を検討しなければならないのです。

給付型奨学金の条件が厳しすぎる!! JASSOは学生を支援する気はない

さて、2020年から始まった給付型奨学金ですが、その受給資格条件があまりにも厳しすぎる気がします。

「学びたい気持ちを応援します」って言うけど、まったくその気持ちを感じられませんけど…。

さらに、給付額も日本の大学授業料と比較して、かなり低く設定されている印象を受けます。

給付型奨学金から見えてくる日本の教育に対する配慮の無さは『日本は教育後進国』であると言わざるを得ない現状を示しているかのようです。

海外では小学校教育でIT教育が導入されているのに、日本は私たちが子供の頃の教育とまったく変わってないですもんね。

さらに大学に目を抜けてみると、欧州諸国では大学学費無償化が進んでいるにもかかわらず、日本はそれとは逆行して大学の授業料は年々増加傾向にあります。

以下グラフが示す通り、各国の給付型奨学金と学生ローン(日本ではなぜか奨学金と呼ばれている…)の比率を見ても世界水準とはかけ離れた結果になっています。

この結果を皆さんはどう受けとめるでしょうか。

日本でもようやく給付型奨学金が始まったと思ったものの、その給付額の低さと受給資格基準の世帯収入額区分(I区,II区,III区)については素直には喜べない違和感を感じてしまいます。

もちろん、人によって捉え方は異なってくると思いますが、今回の記事ではまず大前提として、上記の海外の給付型奨学金の普及率と欧州諸国で進む大学学費無償化を念頭に置いて、日本の大学の現状について考察した個人見解を述べています。

2020年施行の給付型奨学金(一般)

給付型奨学金は世帯所得金額に応じて第I~IIIの3つの区分に分類されています。

また、自宅通学 or 自宅外通学、国立大学 or 私立大学によっても給付金額が異なってきますので、あなたがどれに該当するのかご自身でチェックしてください。

(注1)自宅通学とは、学生等が生計維持者(父母等)と同居している(又はこれに準ずる)状態のことをいいます。  「自宅外通学」の月額を選択する場合、自宅外通学であることの証明書類(アパートの賃貸借契約書のコピー等)の提出 が毎年度必要です。  なお、自宅外通学の区分で支給を受けるためには、次のいずれかに該当している必要があります。 ア.実家(生計維持者いずれもの住所)から大学等までの通学距離が片道60キロメートル以上(目安) イ.実家から大学等までの通学時間が片道120分以上(目安) ウ.実家から大学等までの通学費が月1万円以上(目安) エ.実家から大学等までの通学時間が片道90分以上であって、通学時間帯に利用できる交通機関の運行本数が1時間当 り1本以下(目安) オ.その他やむを得ない特別な事情により、学業との関連で、実家からの通学が困難である場合 (注2)生活保護世帯(扶助の種類を問いません。)を受けている生計維持者と同居している人及び児童養護施設等から通学する 人は、上表のカッコ内の金額となります。

参考資料:2019年度版給付型奨学金案内

ここで気になるのが、世帯所得で区分される第I~III区分についてです。

2019年度版給付型奨学金案内にはその区分について事細かく書かれていてぱっと見わかりずらいですが、ざっくりわかりやすく言えば、あなたの世帯収入(≒両親の収入)が以下の3つのうちどれに当てはまるかで区分されます。

  • 295万円以下→第1区
  • 395万円以下→第II区
  • 461万円以下→第3区

その他、2,000万円以上の資産がある場合は給付資格なしという条件がありますね。

給付型奨学金の審査基準は他にも学業成績などがありますが、実際のところはこの世帯所得でほぼ決まってくると思われます。

では、第I~III区分の違いが分かったところで、大学の給付型奨学金についてもう一度確認してみましょう。

国立大学

  • 第I区分:自宅通学\29,200円、自宅外通学\66,700円
  • 第II区分:自宅通学\19,500円、自宅外通学\44,500円
  • 第III区分:自宅通学\9,800円、自宅外通学\22,300円

私立大学

  • 第I区分:自宅通学\38,300円、自宅外通学\75,7800円
  • 第II区分:自宅通学\25,600円、自宅外通学\50,600円
  • 第III区分:自宅通学\12,800円、自宅外通学\25,300円

この給付額をどう捉えるかは意見が分かれるところではありますが、「大学授業料無償化」などが叫ばれる現代において、それにとって代わる代案として給付型奨学金が設定されたと言うのであれば、まったくもって意味を成さないのではないでしょうか。

例えば、第III区分の世帯収入基準は461万円以下となっています。

現在の日本の平均収入が約400万円(平均年齢43歳)であることを考えると、大学生のお子さんをもつ世帯の多くは第III区分に該当すると考えられます。

しかし、平均収入400万円前後の世帯の家計は現在の日本社会において生活にまったく余裕があるわけではありません。

昨年に京都市が報告した興味深いデータが話題になりましたね。

この京都市のデータからも考えられる通り、今回新たに設置された給付型奨学金の区分は現状の問題をまったく解決する事ができない制度と言わざるを得ません。

では、現状の問題とはなんなのでしょうか。

教育を受ける権利:大学無償化

まず、統計的な話を前提とすると、日本社会における学歴による収入格差は明らかな結果として受け止めなければなりません。

下の図は厚生労働省による学歴、男女別に見た初任給のデータになります。

これを見てもわかる通り、学歴にる収入格差は明らかです。

これを踏まえた上で、現在日本が抱える貧困問題を考えてみましょう。

これは日本だけでなく先進国では必ずといってもいいほど問題になっている「貧富の格差」の根本的な原因が「教育」にあるというポイントです。

要するに、貧困家庭で育つとその子もまた将来貧困に陥りやすい傾向にあり、この連鎖の根底には家庭が貧困であると十分な教育を受けることができず低所得から抜け出せなない、との考えがあります。

これを裏付けるかのように、確かに教育と収入は比例関係にあり、いかに高等教育を受けることが貧困から脱するために必要であるかを示唆するデータとなっています。

つまり、貧富の格差、貧困問題を解決するためには、誰しもが高等教育を受けて社会に出ていく事が必要となると考えられます(もちろん例外はありますが、ここではあくまで統計結果に基く一般論を述べております)。

「大学無償化」は必然的に日本社会が前向きに検討しなければならない課題です!!

海外(特に欧州諸国)では大学学費無償化の流れが加速しているにも関わらず、日本の大学はどうなているのでしょうか。

大学無償化とは真逆の傾向:大学の授業料は年々増加傾向にある

文部科学省から出ている大学授業料に関する興味深いデータがあるので見てみましょう。

このグラフは文部科学省が公表しているデータをグラフ化したものです(授業料と入学金を合算したデータをプロットしています)。

1972年から2004年までの大学の年間授業料(+入学金)の推移を見てみると、一次関数的な増加傾向にあることが確認できます。

2004年の段階で国立大学では802,800円、私立大学では1,097,746円もの授業料(+入学金)が発生している状況です。

現在の2020年はおそらくさらに増加傾向にあると推測されます(すみません…2005年以降の信頼できる元データが見つかりませんでした)。

この結果を踏まえて、もう一度だけ給付型奨学金をチェックしてみませんか?

国立大学

  • 第I区分:自宅通学\29,200円、自宅外通学\66,700円
  • 第II区分:自宅通学\19,500円、自宅外通学\44,500円
  • 第III区分:自宅通学\9,800円、自宅外通学\22,300円

私立大学

  • 第I区分:自宅通学\38,300円、自宅外通学\75,7800円
  • 第II区分:自宅通学\25,600円、自宅外通学\50,600円
  • 第III区分:自宅通学\12,800円、自宅外通学\25,300円

例えば、国立大学への入学が決まり、世帯収入400万円で第3区分の給付型奨学金を受給できた場合、年間に給付される奨学金は267,600円(自宅外通学)です。

なお、国立大学の授業料は802,800円となります。

つまり、授業料に対する給付額が33%にしか満たないのです。

実際には一人暮らしを始める大学生への仕送りや教材費などもろもろ発生してきます。

これだと給付型奨学金を受給できても、結局は従来の第1,2種奨学金に頼らなくちゃいけない状況は変わりません…。

つまり、大学に行ったとしても卒業と同時に奨学金という借金を背負って社会に出ざるを得なくなり、若者の貧困、少子化問題はまったく解決しません。

奨学金徳政令による改革が必要

奨学金徳政令については「借りた本人の責任」という意見が否定派の主たる主張ではありますが、奨学金の生い立ち、さらには現在日本が直面する問題を考えると、決して「借りた本人の責任」とは言い切れないことをみなさんにも考えてほしいです。

奨学金徳政令を掲げる山本太郎氏の演説をお聞きください。

ちなみに私は山本太郎信者ではありませんし、役者としての彼のファンだったわけでもありません。

むしろ、国会での姿を見る限り、話し方が役者がかっていて不快に思うほどもありました。

しかし、この演説は心に響きました。

現代の日本の若者が抱える問題、奨学金の根本的な制度の問題をピンポイントで追及する演説に心が震えました。

  • 「教育を受ける権利」
  • 「国が教育を受けさせる権利」
  • 「若者に対する先行投資」

本来そうあるべきものを、若者を奨学金という名ばかりの金融商品のカモにしているとしか言えない現状。

なぜ、日本学生支援機構JASSOはこうした問題を抱えながらも、第1,2種奨学金の制度をそのままにし、今になって極めて少額の給付型奨学金を開始したのか、その理由を皆さんは考えるべきではないでしょうか。

自己破産や過度の取立などの一部報道により損なわれた(いや、むしろ本来の)奨学金のイメージを払拭するため(or/and 現行の学生への金貸し業を続行するため)に、給付型奨学金がイメージ戦略の一環として設けられたと思わざるを得ません。

もしそうでなければ、授業料の33%にしかならないような給付型奨学金ではなく、本当の意味で学生の負担にならない制度を設けるべきであり、それが実現しなければやはりイメージ戦略にすぎないのではないでしょうか…。

こうした問題を抜本的に解決するには、山本太郎氏の掲げる奨学金徳政令が極めて有効な手段であると考えられます。

もしも奨学金徳政令が実現するのであれば、現状増加し続ける大学の授業料の見直し、さらには奨学金との名ばかりの学生を対象とした金貸し業の根絶に大きな影響を与えるでしょう。

そして、奨学金徳政令の影響により「若者の教育を受ける権利」さらには「若者に対する国の先行投資」が実現されれば、日本の貧困問題を解決するために大きく貢献することになるのではないでしょうか。

まとめ : 奨学金という名ばかりの学生ローンは若者の貧困の原因であり早急な改革が必要

  • 2020年スタートの給付型奨学金は根本的に何も解決しない。
  • 日本の大学授業料は年々増加傾向にあり、日本の平均所得を考慮すれば、第一種・第二種奨学金に頼らざるを得ないのが現状。
  • こうした現状が、日本経済が諸外国に比べて大きく伸び悩んている要因にある可能性が指摘される。
  • 日本の貧困問題は、大学教育を受けられない or 借金をしなければ受けられない事が根音的な要因にあり、それが日本が直面する少子化問題へと繋がっている。
  • こうした貧困問題、少子化問題を抜本的に解決するためには、山本太郎氏の掲げる奨学金徳政令が大きな役割を果たすと考えられる。
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