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【悲報】大学院博士課程で学位を取得しPDとなった私が研究職を辞めた理由

大学院博士課程で学位を取得しPDとなった私が研究職を辞めた理由

私は貴重な20代の大半の時間を大学での研究に費やしました。

その甲斐があって、大学院5年で博士号を取得し、卒業と同時に某大学の研究機関へPDとして5年任期で就職することができました。

そんな私はPD2年目で自主退職し、研究職を辞めました。

多重債務者リサの経歴

2008年:大学卒業後、有名パティスリーに就職

  • 1年で退社
  • 日本人ノーベル物理学賞の授賞式ニュースを見て、再び研究者を目指すことを決意

2010年:大学院入学

  • 入試成績トップで大学院試験合格
  • 修士課程2年、博士課程3年で物理学博士の学位を取得

2015年:某大学研究所にPDとして就職

  • 5年任期、月30万円の固定給(昇給、ボーナスなし)

2017年:PD辞職&カフェ起業

大学4年生の頃に配属された研究室で始めた頃から考えると、計10年近くの研究生活を送ったことになり、そして辞めました。

博士号まで取得しPDのポストも得ていたのになぜ辞めることになったのか、その理由について語りたいと思います。

大学院博士課程で学位を取得しPDとなった私が研究職を辞めた理由

大学院博士課程まで進学した私が研究職を辞めた理由結論から言うと、私が研究職を辞めた理由は一つではなく、複数のことが重なり総合的に考えて辞めるという選択をしました。

研究職を辞めた理由
  1. 研究に社会的価値を見出せなくなった。
  2. 経済的に将来が不安になった。
  3. 自己成長に限界を感じ始めた。

大学院生やPDの方であれば、こうした不安と日々葛藤している人も多いと思います。

ただし、こうした不安を感じながらも「まぁそんなこと考えても仕方ないしな」と割り切っている(or あまり考えていない?)人がいるのも事実です。

研究業界にいて私が感じた研究者に向いている人の特徴は、研究に没頭できる人ではなく、漠然とした不安を感じない、気にしないタイプの人だと思います。

つまり、繊細な人ですね。

このページを訪れたあなたが、大学院生やPDであれば、それはすでに不安を感じている証拠であり、もしかすると研究者に向いていない性格かもしれませんね。

さて、私が研究職を辞めた理由についてもう少し掘り下げてお話します。

その1.研究に社会的価値を見出せなくなった

社会的価値など考えている時点で研究者に向いていなかったのかもしれません…。

大学院博士課程にいたころは、私なりの「研究者とはこうあるべきだ」といった信念に近い思いがあり、日々研究活動に没頭していました。

私が目指した研究者像

「研究を通して得られた知識、経験、発見を一般社会に還元できる研究者」これこそが、私が目指す研究者像である。研究成果を論文や学会を通して報告していくことは研究職に従事する者の義務であり、その上で、一般の方々に対して研究を通して得た成果を還元していくことが、研究者としての社会における役割であると考えている。

しかし、博士号を取得しPDとなって就いた研究プロジェクトに所属し、チームで研究を進めていく中で、こうした私の想いは徐々に薄れていきました。

その結果、取り組んでいる研究プロジェクトに対する社会的価値を見出せなくなっていました。

その大きな原因はプロジェクトのずさんな運営実態であり、本研究プロジェクトを進めるにあたり消費される莫大な研究資金が、税金の無駄使いとしか思えなくなったためです。

本研究プロジェクトの研究費:5億円
5億円を使い得られる成果:???

研究プロジェクト自体の意義や価値は高かったと思います。

しかし、それは研究プロジェクトの表向きの見せ方であり、その運営状況は5億円もの予算が組まれているものと言えるものではなかったです。

研究者によっては「5億円のプロジェクトなんて大したことない」「それくらいの研究規模のプロジェクトはありふれている」と言う方もいるでしょう。

しかし、そうした意見がでる時点で、その研究者は腐っていると私は思います。

金銭感覚が麻痺していますよね。自分のお金じゃないからって。そうした考えが根底にあるから…。

こんなお金の使われ方は正直言って、ふざけています。

ちなみに、このプロジェクトは研究費が底をつき、何かを達成することもなく現在はお蔵入り状態になっているようです。。

その2.経済的に将来が不安になった

研究職に就くためには大学院博士課程にまで進学しなければならず、そのため最短でも27歳までは学生という立場になります。

その間に奨学金を借入している人も少なくありません。

むしろ、実家が裕福でない限り、学振に採用されなければ奨学金を借りざるを得ない状況だと思います。

元PDから超重要なアドバイス

大学院博士課程中にDC1 or DC2に採用されなければ、研究者としてのキャリアはほぼ絶たれたと思って間違いありません。

※いますぐ起業の準備にとりかかりましょう。(←なぜ?)

もちろん、すべてのケースでこのアドバイスが当てはまるというわけではありませんが、一般的(現実的)にはこの考え方(判断の仕方)は間違ってはいないと思います。

これは研究者をしている方なら同意していただけるのではないでしょうか。

ちなみに、私は学振をDC2とPDの2度申請した経験がありますが、2度とも落ちました。この時に、研究者としてのキャリアは私の将来にはないと判断すべきだったのかもしれません。

そのため、奨学金を頼りに学生生活を続けており、その結果学部生から合わせて総額1,250万円以上の奨学金による借金を抱えることになりました。

私の奨学金の内訳は以下の通りです。

利息をちゃんと計算していませんが、1,300万円超えてしまいそうですね。

学部生・第2種 4,800,000円(+利息)
大学院修士・第1種 1,200,000円
大学院修士・第2種 2,112,000円(+利息)
大学金博士・第1種 4,392,000円
借入総額 12,504,000円(+利息)
研究者に限らず、社会人1年目でこんな借金を抱えていては普通の人ならまっとうな思考を維持することなんて無理ですよね。そう、私は普通の人間でした。。

私のPD時代の給与:月額30万円(ボーナスや他手当はない…)

これからもろもろひかれて…手取りは25万円ほど。

そして、月々の生活費の内訳は以下の通り。

  • 家賃:52,000円
  • 水・光熱費:15,000円
  • 電話代:10,000円
  • 食費:30,000円
  • 交際費:20,000円
  • 奨学金返済:55,000円

⇒ 合計:182,000円

正直言って手取り25万円で生活できないレベルではまったくありませんが、結婚式や実家に帰省するための旅費などの出費があった月はギリギリです。。

というか、社会人1年目から55,000円の返済って…すごいですよね。

そのため、生活水準も学生の頃のまま…(特に贅沢をしたかったわけではありませんが)。

同級生は結婚し子供を持ち、マイホーム&ファミリーカー or SUVを購入し始めている中で私は大学生の時と変わらない生活に経済状況…。

他人と比較してもどうにもならないことは重々承知ですが、こんな状況で将来の経済的不安が重くのしかかり、研究者を続けていく意思が揺らぎ始めました。

先に言った通り、こうした状況に不安を感じない or 気にしない性格の人が研究者には向いています。ほんとに。

さらに、この時は任期5年のPDだったため、この任期がきれた途端に無職になる可能性もあり、仮に別のポストへ移ることができたとしても現在の給料が維持されるとは限りません。

その結果、研究に集中することができなくなり、飲食店でアルバイトをするようにまでなりました。

その3.自己成長の限界を感じ始めた

大学院博士課程まで進学した私が研究職を辞めた理由
当時の精神状態は“鬱”でした。今思えば傷病手当金を申請して休職すればよかったな。

今ほどに鬱が病気であるという認識がなかった時のため、様々な理由からのモチベーションの低下だと思っていましたが、当時の私は明らかに“鬱”状態だったと思います。

それにより、研究意欲も失われ続けていき、それと同時に自分の能力の低さにも嫌気と劣等感を感じ始め、研究職を続けていくことが困難な状況に陥っていきました。

自分で言うのはなんですが、大学院生の頃は比較的活発に研究活動を行っており、国内外の学会・研究会へも瀬局的に参加していて、比較的優秀な若手研究者だったんですよ。笑

研究実績や経験を重ねることで、自分の成長スピードを実感し、自らの研究者としての可能性は広がり続けるということを確信して疑うこともありませんでした。

そう思っていたからこそ、奨学金の借入さえ将来の投資だと思い躊躇しなかったんです。

まさか、その数年後に鬱”状態に陥ってしまうことなど予想もしませんでした…。

大学院博士・PD研究職を通して得られたもの

約10年間を費やした私の研究生活にどんな意味があったのか。

結論から言えば、多くの貴重な経験をし、結果的に自身が大きく成長できたと考え得います。

ありきたりで具体的な言葉で表現すると、

『自ら学び、考え、そして行動する』というスキルが身に付きました。

もし、こんなこと!?って思ったあなたは大学生並みのレベルの低い人間だと思います。

このスキルがいかに重要であるかを知らないことで多くの機会損失をしていることでしょう。

私の持論ですが、大学院生(博士)・研究者は就職する必要がないと断言しています。

その理由は、就職せずとも起業するなり、個人で仕事をこなす能力が自然と養われているためです。

※これはあくまで意欲的に研究生活を続けてきた大学院生を対象にした考えであり、就職が嫌でなんとなく進学してだらだら博士課程にいる…といった人などを含めていません。

2018年には副業が解禁され、2020年には『個人の時代』と呼ばれるまでになりました。

つまり、個人で稼ぐスキルが重要になります。

幸いにも、そのためのプラットフォームは整っています。

例えば、クライドソーシングというサービスが副業において注目され始め、さらにより最近では各企業でも個人のスキルの重要性にフォーカスし始めており、フリーランスという働き方が注目される時代になってきました。

その結果、テレワークという形での雇用契約を進める企業も多くなり始めています。

こうした時代において、『自ら学び、考え、そして行動する』というスキルがいかに重要であるかはもはや説明不要でしょう。

私が研究を通して得られたものは、今の時代には必要不可欠な能力になっているのです。

最後に:大学院博士・PDはその能力を研究だけではなく個人で生かすべき

最後に、研究職を経験した私から、大学生 or 大学院生への提案があります。

現在、大学院博士課程、もしくはPDで研究職を続けていくかを迷っている方であれば、まずは研究を続けながら「起業」or「フリーランス」で働くことで、あなたが抱く将来の悩みを解決できる可能性があります。

つまり、『自分の活躍できる場所を研究職以外にも作り始めましょう』ということです。

特に大学院博士課程にいる学生ではれば、間違いなく始める出来です。

起業してしまうのだって全然ありです。

すでにご存知かもしれませんが、そのためのプラットフォームは整っています。

あとはあなた自身が行動に移すだけです。

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以上です。

あなたは社会が必要としている人材であり、個人で羽ばたく可能性に満ち溢れた存在であることを知っておいてください。