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【研究職を辞めた理由】大学院博士課程で学位を取得しポスドクになった私の葛藤

【研究職を辞めた理由】大学院博士課程で学位を取得しポスドクなった私の葛藤

自分で言うものアレですが、学位取得時に2つのポスドクのオファーをいただけていたので、若手研究者としては順調なスタートをきれたのではないかと思います。

  • 大学院5年(修士+博士)で物理学博士号を取得
  • 博士終了後は3つの研究機関からポスドクのオファー
  • 将来性を考えて5年任期のポスドクのポストを選択

私は大学院5年で博士号を取得し、卒業と同時に某大学の研究機関のポスドクとして5年任期で就職することができました。

しかし、ポスドクの2年目で残り3年の任期を残して研究者としてのキャリアに幕を下すことになりました。

 

簡単に私の自己紹介を。

☑ 学部4年+大学院5年で物理学博士号を取得
☑ 某大学の研究機関でPDとして勤務(5年任期)
☑ PDの給料は360万円(年収)

 

大学4年生頃から研究を始めたと考えると、計10年近くの研究活動を続けたことになります。それにもかかわらず、辞めました。

博士号を取得し、ポスドクのポストも得ていたのになぜ辞めることになったのか、どうしてやめたいと思ったのか、その理由について語りたいと思います。

  • 大学院博士課程で学院を取得しポスドクになった私が研究を辞めた理由
  • 大学院博士・ポスドクを通して得たもの
  • 最後に:博士は研究で培った能力をもっと生かすべき

 

結論から言うと、私は自分に与えられた研究環境に甘えていただけかもしれません。

とはいうものの、当時は必死でした。

なかなか目に見えた成果を出すことができず、周りの優秀な同期のポスドクに劣等感を感じながら、自分の不甲斐なさに失望しつつも、自分なりに頑張っていた“つもり”でした。

今になって冷静に考えれば、あの時の私は“休むべき”だったと思います。

自暴自棄になる前に、一度休憩すべき精神状況に陥っていたのかもしれません。

大学院博士課程で学位を取得しポスドクになった私が研究を辞めたいと思った理由

結論から言うと、私が研究職を辞めた理由は1つではありません。

「やめたい…」というネガティブな気持ちが日々増していき、さまざまな要因が重なった結果、総合的に考えて辞める決断をしました。
※とはいっても、当時は冷静な判断ができない状況だったかも…。

 

研究を辞めた理由

  1. 研究に社会的価値を見出せなくなった。
  2. 経済的に将来が不安になった。
  3. 自己成長に限界を感じ始めた。

 

大学院生やポスドクの方であれば、こうした不安と日々葛藤している人も多いと思います。

それとは対照的に、こうした不安を感じながらも「まぁそんなこと考えても仕方ないしな」と割り切っている(or あまり考えていない?)人もいます。

 

私が思う“研究者に向いている人”の特徴は、研究に没頭できる人ではなく、漠然とした不安を感じない、気にしないタイプの人だと思います。

 

つまり、繊細な人は研究者には向いていない。

このページを訪れたあなたが、大学院生やポスドクであれば、それはすでに不安を感じている証拠ですよね。もしかすると研究者に向いていない性格かもしれません。

さて、私が研究職を辞めた理由についてもう少し掘り下げてお話します。

 

研究を辞めた理由①
研究に社会的価値を見出せなくなった

社会的価値など考えている時点で研究者に向いていなかったのかもしれません…。

大学院博士課程にいたころは、私なりの「研究者とはこうあるべきだ」といった信念に近い思いがあり、日々研究活動に没頭していました。

 

私が目指した研究者像

「研究を通して得られた知識、経験、発見を一般社会に還元できる研究者」これこそが、私が目指す研究者像である。研究成果を論文や学会を通して報告していくことは研究職に従事する者の義務であり、その上で、一般の方々に対して研究を通して得た成果を還元していくことが、研究者としての社会における役割であると考えている。

 

しかし、博士号を取得しポスドクとして研究プロジェクトに所属し、チームで研究を進めていく中で、こうした私の想いは徐々に薄れていきました。

その結果、取り組んでいる研究プロジェクトに対する社会的価値を見出せなくなった結果、「なんのために私は研究しているのだろう…」と、答えのない問いを自問自答し、自暴自棄になるばかり。。

 

社会的価値を見出せなくなった大きな原因は、私が所属するプロジェクトの運営実態に疑問を感じたことがきっかけになり、さらに、本研究プロジェクトに当てられた莫大な研究資金が、税金の無駄使いとしか思えなくなりました。

本研究プロジェクトの研究費:5億円

研究プロジェクト自体の意義や価値は高かったと思います。

しかし、それは研究プロジェクトの表向きの見せ方であり、その運営状況は5億円もの予算が組まれているものとは思えないほどのものでした…。

 

まったく個人的な問題ですが、私は大学~大学院まで奨学金を借りて学費を賄っていたため、学位取得時には約1,000万円の奨学金の返済を抱えていました。それなのに、5億円ものお金が目の前で無駄遣いされていくように思えて…。

 

研究者によっては「5億円のプロジェクトなんて大したことない」「それくらいの研究規模のプロジェクトはありふれている」と言う人もいるはずです。

しかし、そうした意見がでる時点で、その研究者は腐っていると思います。

 

金銭感覚が麻痺していますよね。自分のお金じゃないからって。そうした考えが根底にあるから…。もっと予算を若手研究員の人件費に充てるべきです。

 

ちなみに、私の所属していたプロジェクトは研究費が底をつき、何か成果を出せたわけでもなく現在はお蔵入り状態になっているようです。。

 

研究を辞めた理由②
経済的に将来が不安になった

研究職に就くためには大学院博士課程にまで進学し、そこで学位を取得する必要しなければなりません(理系分野ならこれが必須条件です)。

つまり、研究者になるためには最短でも27歳までは学生という立場になります。

それまでには当然学費も必要になるため、若手研究者は経済的に大きな負担を背負うことは避けられません。

学振に採用されるか、実家が裕福でない限り、奨学金を借りざるを得ない状況になります。

 

元ポスドクから重要なアドバイス

大学院で学振DCに採用されなければ、研究者としてのキャリアはほぼ絶たれたと思って間違いありません。“就職”を考えましょう。

≫【理系限定】アカリク転職エージェント

 

冗談ではありません。

受け入れがたい事実ですが、これが現実です。

もちろん、すべてのケースでこのアドバイスが当てはまるというわけではありませんが、一般的(現実的)にはこの考え方(判断の仕方)は間違ってはいないと思います。

これは研究者であるなら同意していただけるのではないでしょうか。

 

ちなみに、私は学振をDC2とポスドクの2度申請した経験がありますが、2度とも落ちました。この時に、研究者としてのキャリアは私の将来にはないと判断すべきだったのかもしれません。
【学振DC2】論文がないので自己評価でアピった結果、落ちた...
【学振DC2】論文がないので自己評価でアピった結果、落ちた...私は博士1年目と2年目に学振DC2を申請しましたが、2度とも不採用となりました。その理由はおそらく「研究業績」に原因あり。とは言っても、申請前から論文がなければ採用は難しいとは言われていたため、それならインパクトのある「自己評価」を書いて、めちゃめちゃアピってやろう!!と思いました。その結果、、...

 

そのため、奨学金を頼りに学生生活を続けており、その結果学部生から合わせて総額1,250万円以上の奨学金による借金を抱えることになりました。

こちらが私の奨学金↓

私の奨学金内訳は以下の通りです。

学部生・第2種 4,800,000円
(+利息)
大学院修士・第1種 1,200,000円
大学院修士・第2種 2,112,000円
(+利息)
大学金博士・第1種 4,392,000円
借入総額 12,504,000円
(+利息)

利息をちゃんと計算していませんが、総額が1,300万円を超えている気がします。

 

研究者に限らず、社会人1年目でこんな借金を抱えてしまうと、普通の人ならまともな思考を維持することは無理です。そう、私は普通の人間でした。。

 

ポスドクの給料:総支給360万円

もしろん、交通費な残業代、ボーナスなどは一切ありません。

月々の手取りはもろもろ引かれて25万円ほど。

そして、月々の生活費の内訳は以下の通り。

 

ポスドク時代の生活費

  • 家賃:52,000円
  • 水・光熱費:15,000円
  • 電話代:10,000円
  • 食費:30,000円
  • 交際費:20,000円
  • 奨学金返済:55,000円

⇒ 合計:182,000円

 

正直いうと、手取り25万円あれば、奨学金の返済が毎月55,000円あっても、まったく生活できないレベルではありません。

しかし、知人の結婚式や実家に帰省するための旅費などの出費があった月はギリギリですし、特に贅沢をしたかったわけでもありませんが、生活水準は大学生の頃のまま。

というか、社会人1年目から毎月55,000円の返済を抱えるって普通ありえませんよね…。

 

同級生は結婚し子供を持ち、マイホーム&ファミリーカー or SUVを購入し始めている中で私は大学生の時と変わらない生活に経済状況…。

他人と比較してもどうにもならないことは重々承知ですが、こんな状況で将来の経済的不安が重くのしかかり、研究者を続けていく意思が揺らぎ始めました。

 

先に言った通り、こうした状況に不安を感じない or 気にしない性格の人が研究者には向いています。ほんとに。

 

さらに、この時は任期5年のポスドクだったため、この任期がきれた途端に無職になる可能性も考えておかなくてはいけません。

仮に、任期終了後に別のポストへ移ることができたとしても、現在の給料が維持されるとは限りません(むしろ下がる可能性だって普通にあります)。

その結果、研究に集中することができなくなり、飲食店でアルバイトをするようにまでなりました。

 

研究を辞めた理由③
自己成長の限界を感じ始めた

当時の精神状態は“鬱”でした。今振り返れば、そんな状態で研究を続けること自体が無理だったんだと思います…。でも鬱を言い訳にしたくなかったんですよね。

 

研究に取り組もうとしても、これまでは1日でできていた仕事量が3日かけても終わらない…。一週間たっても完了しない…。という状況になり、頑張ろうとすればするほど、状況は悪化していきました。

それにより、研究意欲も失われ続けていき、それと同時に自分の能力の低さにも嫌気と劣等感を感じ始め、最終的に研究を辞めようと思うようになりました。

 

自分で言うのはなんですが、大学院生の頃は比較的活発に研究活動を行っており、国内外の学会・研究会へも瀬局的に参加していて、比較的優秀な若手研究者だったんですよ。(笑)

研究実績や経験を重ねることで、自分の成長スピードを実感し、自らの研究者としての可能性は広がり続けるということを確信して疑うこともありませんでした。

そう思っていたからこそ、奨学金の借入さえ将来の投資だと思い躊躇しなかったんです。

まさか、その数年後に“鬱”状態に陥ってしまうことなど予想もしませんでした…。

 

大学院博士・ポスドクを通して得られたもの

約10年間を費やした私の研究生活にどんな意味があったのか。

結論から言えば、研究を通して多くの貴重な経験をすることができ、そして多くの挫折をも経験したことで、私自身がとても成長できたと思います。

 

ありきたりな言葉で表現すると、「自ら学び、考え、そして行動する」というスキルが身に付きました。ただ、私の場合、その代償も大きいものとなりましたけど。。

 

研究者って優秀ですよ。

私の持論ですが、大学院生(博士)・研究者は、研究職を辞めたとしても、起業して個人で仕事をする能力がある人がほとんどだと思います。

その理由は「自ら学び、考え、そして行動する」ことができるし、これまでも研究を通して実践してきたことです。

そのスキルのベクトルを研究以外の方向へ向けるだけで、何者にでもなれると確信しています。それだけの”人間力”は自然と養われてきたはず。

そのことに気付いていないだけ。

2018年には「副業が解禁」され、2020年には「個人の時代」と呼ばれるまでになりました。つまり、個人の力が重要とされる時代を私達は生きています。

こうした時代において、「自ら学び、考え、そして行動する」というスキルの重要性に気付けない人は時代の変化に取り残されていきます(20~30代の世代であればなおさらやばいです)。

私が研究を通して得られたものは、幸いにも今の時代に必要不可欠な能力になっているのです(だからこそ、私はまだ生きていけているのかもしれません)。

最後に:博士は研究で培ったスキルをもっと活かすべき

研究職を経験した私から、大学生 or 大学院生への提案があります。

現在、大学院博士課程、もしくはポスドクで研究職を続けていくかを迷っている方であれば、まずは研究を続けながら「起業」or「フリーランス」として活動し始めることで、あなたが抱く将来の悩みを解決できる可能性があります。

つまり、「自分の活躍できる場所を研究職以外にも作り始めましょう」ということ。

特に大学院博士課程にいる学生ではれば、絶対に始めるべきです。

すでにご存知かもしれませんが、個人で『起業』したり『フリーランス』として活動するためのプラットフォームは整っています。

あとはあなたの行動あるのみ!

 

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以上です。

研究がんばってくださいね。