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【大学院進学のメリット】なぜか誤解が多い博士のイメージと現実

大学院へ進学するメリット|よくある誤解と博士のリアルを語ります
理系大学生なら大学院へ進学するべきと言われているけど、実際には就職する人がほとんどですよね。やっぱり大学院進学は辞めた方がいいのかな?? 進学することで良いことってあるの??

文部科学省が公表している「平成30年度学校基本調査」によけば、大学(学部)卒業者の11.8%が大学院へ進学している状況です(平成30年3月)。

大学院へ進学するメリット大学院への進学はどちらかと言えば大学生にとって少数派の選択肢になってしまうため、進路に不安を感じることもあるかもしれません。

しかし、自分の進路を他の人と比べることで得られるメリットはないでしょう。

もし、あなたが積極的な理由で大学院への進学を検討しているのであれば、それは多くの可能性を秘めた将来への第一歩となると思います。

進学 or 就職で悩んでいるあなたへ、大学院進学のメリットを私自身の体験談を元にアドバイスさせていただきますね。
リサの経歴
  • 物理学部卒業、大学院へ進学
  • 修士・博士課程を修了し物理学博士号取得
  • 某大学研究所にPDとして研究プロジェクトに就任

本題に移る前に、大切なことをお伝えします。

もしあなたの大学院進学の動機が「研究を続けたい」「研究職に就きたい」と思う積極的な動機であれば、大学院進学へのデメリットはありません(大学院進学を迷う必要はありません)。

ただし、まだ就職したくない…というネガティブな動機であれ大学院へ進学しても得られるものはないでしょう。

【博士のリアル】大学院進学のメリットに関するよくある誤解

大学進学のメリットのよくある誤解大学院進学に関する情報でよく誤解されていることがあります。

大学院は自主性が重んじられる場であり、『自ら考え、行動する』ことが研究を進めるうえで非常に重要な要素となります。

大学院生のよくある悩みの1つに「指導教員がちゃんと指導してくれない。私は放置されている。」と言う学生がいますが、これは“学生側の勘違い”である場合がほとんどです。

大学院では受け身の姿勢では得られれるものはないでしょう。

このことを踏まえたうえで、大学院進学のメリットに関するよくある誤解について一緒に見ていきましょう。

大学院進学のメリットの誤解
  1. 専門性が身に付く
  2. 就職の幅が広がる
  3. 初任給が高い

これらはよく聞く文言ではないですか??

でも、これらには多くの誤解が含まれています。

先ほどもお伝えした通り、大学院では『自ら考え、行動する』ことが重要であり、これを無くして大学院進学のメリットは何もないでしょう。

では、1つずつ深掘りしてみますね。

その1.専門性が身に付く…という誤解

もしあなたが大学院を修士課程で卒業することを考えているなら、残念ながら『専門性』など身に付くことはないと思います…。

厳しい意見ですが、これが事実です。

修士卒で専門性は身に付かない理由

  • 修士課程は短いうえに、就職活動を考慮すれば実質1年間しか研究期間はない。
  • 卒業単位取得のための研究とは関係ないゼミや講義が多い。
  • 修士で卒業する学生が持てる研究テーマに専門性は期待できない。

大学院へ進学するなら博士号を取得することを目指してください。

それを目指さずに修士課程で卒業することに大学院進学への意味はありません。

「修士課程は短いから博士課程までいく気がないなら進学する意味はないよ」っということを大学院進学を考えている学部生に話すと「修士課程が短いということはわかっていますが、その分私は人よりも何倍も頑張るつもりです!!」っと高い志を持つ学生がいらっしゃいます。

その志は大切ですし、その意思は尊重されるべきだと思いますが、現実は違います…。

大学院へ進学すると、各研究室に所属することになると思いますが、そこで与えられる研究テーマはその学生が修士で卒業するのか、もしくは博士課程に進むのかによって大きく変わってきます。

基本的(現実的)には修士課程で卒業する方に大きな研究テーマを持つことは難しいし、指導教員も修士卒で区切りが付くことを前提とした研究テーマを持ってくるはずです。

もしくは、学部の卒業研究を延長(学部でできなかった部分の補填)程度で終える学生が多いことも事実です。

つまり、博士課程に進学するか否かで専門性が得られる研究テーマか否かが決まってしまうと言っても過言ではありません。

※指導教員も大学院生の研究を指導するのは大変です。博士に行く気がない(研究者になるつもりがない)学生には、使い回しの効く内容の浅い研究テーマが与えられて当然かもしれません。

その2.就職の幅が広がる…という誤解

大学院進学のメリットのよくある誤解これについては多くの方が本質的な意味を誤解している可能性があります。

もし、あなたが研究職に就くことを目指しているのであれば”博士号”を取得することが条件にあるため、大学院へ進学しなければ就くことができない職業があることは事実です。

こうした意味では、大学院へ進学することで就職先の幅が広がると言えるでしょう。

しかし、以下の様な考えで大学院へ進学しようとする学生は要注意です。

研究者になるかはわからないけど、就職できる会社が増えるなら大学院へ進学したほうが良いと思っていたんですけど…。

例えば、学会や研究会で知り合った企業の人や、教授の推薦などにより就職の選択肢が増えることもあるかもしれません。

しかし、それは稀なケースです。

誰もが就職したがるような一般企業にコネがある教授なんていません(← ドラマにあるような話を鵜呑みにしてはいけません)。

要するに、大学院へ進学したからっという理由で就職の可能性が広がることはまずないでしょう。
※大学院以上は経歴よりも個人の能力が試されます。

ただし、研究を通してこれまで興味のなかった分野を意識し始めることもよくあることだと思います。

研究で光学顕微鏡を使っているうちに、この顕微鏡すごいなっと愛着が湧いてきて製造メーカーに就職してみたとか。

そういう理由で就職先の幅が広がることはあると思います。

つまり、「大学院卒だと就職先のバリエーションが増えるから就職に有利」ということはありません。

その3.初任給が高い…という誤解

もし、修士or博士卒業の方が初任給が高いから長い目で見た時に得をする!!っと思って大学院へ進学するなら、それはおすすめはできません…。

2018年には実質的終身雇用制度の崩壊が露呈し、多様性が求められる時代であることからも、1つの会社に就職して定年まで…という昭和時代の働き方モデルは存在しないでしょう。

こうした時代背景からも学歴で給料が決まるという時代ではなく、個人の価値により対価(給料)は変わってくると考える方が合理的です。

つまり、『研究を通して個人の価値を高める』っということにより、結果的に『得られる収入が高くなる』っということはあっても大学院卒だけで優遇される時代ではありません。

とは言っても、学部卒と大学院卒とでは初任給に2万円ほどの差があるケースが多いですね。

しかし、この2万円の差を重視するほど残念ながら大学院の学費は安くない…というのが現実です。

【経験談】大学院進学のメリットを元研究員が解説

大学院進学のメリット

では、メリットはないのか…と心配しないでください!!

大学院進学はメリットしかはりませんよ(博士課程まで進むことが前提ですけど)。

大学院進学のメリット(個人的な意見)
  1. 世界最先端の現場を体験できる
  2. 視野が広がる
  3. 世界を飛び回れる
これは私が大学院での研究生活を通して感じたことです

ぜひ参考にしてみてください。

では、1つずつ見ていきましょう。

その1.世界最先端の現場を体験できる

まず大前提として大学院は『研究』をする場所です。

ほとんどの学生がこれを「誤解している」or「理解していない」ままで大学院に進学しています。

『研究』と『勉強』の違いを理解しましょう。大学院は『研究』する場所であり『勉強』する場所ではありません。

この違いに「ん??」っと思った方は要注意!!

研究と呼ばれるものはすべて世界最先端でなくてはなりません。

まだ解明されていない問題を解き明かそうとする試みがこそが『研究』なんですよ。

誰かが成しえた or 既に確立された学問を学ぶことは研究ではなく『勉強』にすぎません(学部生の頃にいっぱい勉強しましたよね??)。

勉強するな!!っと言っているわけではありません。勉強して基礎知識を身に付けることは重要ですが、それは『研究』ではないことを自覚してください。

さて、このことを理解した上であなたがこれから取り組む『研究』を客観的に見てください。

どんなニッチなテーマであれ、その研究は人類がまだ知りえない問題を解き明かそうとする偉大な試みなのです!!

そして、そうした研究には最先端技術が使われることも珍しくありません。

いくつ具体例をピックアップしますね。

スーパーカミオカンデ
  • 太陽から降り注ぐニュートリオを検出するための世界最大級の宇宙素粒子観測装置。
  • 日本、アメリカ、中国、ヨーロッパ諸国の約40の大学や研究機関との共同研究が実施されている素粒子物理学の最先端の実験施設。

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Spring-8
  • 世界最高性能の放射光(電磁波)を利用することができる実験施設。
  • 国内外に広く開かれた実験施設であり、地球物理学や固体物理学、生命科学などの多くの研究分野で科学利用されている。

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すばる望遠鏡
  • ハワイ島マウナケア山頂にある口径 8.2 メートルの光学赤外線望遠鏡。
  • すばる望遠鏡は国内外の大学共同利用機関であり、多くの研究者たちによる観測研究・開発を促進している。

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大学院へ進学すると研究活動をしていく中で、世界最先端の研究施設・実験施設を利用する機会があります。

それは、研究者でしか体験できない貴重な経験であり、科学者の特権と言っても過言ではないでしょう。

その2.視野が広がる

めっちゃ漠然としたメリットですが、言葉の通りです。

研究とはいまだ解決していな問題を解き明かす行為である、ということをイメージしやすく例えるとなら、目の前に置かれた物体の正体を解き明かす行為に例えられます。

目の前の実験台に置かれた正体不明の物体をイメージしてみてください。

ただし、あなたは目隠しをしていて物体を直接見ることがきませんし、手に取ることもできません。

そんな状態でどのようにその物体の正体を解き明かすことができるのか、それを試行錯誤する行為こそが研究です。

例えば、光を当てて反射光を調べてみたり、振動を与えてみたり、様々な実験を試みて少しづつその物体の正体を解き明かしていくのです。

物体の色は?? 形は?? 大きさは?? 材質は?? …

その過程で多くの手段を考え実行(実験)する中で、これまでとは違った思考を持ち始めることでしょう。

物事を追求する行為はあなたの思考範囲、つまり視野を広げることになります。

それこそが、あなた自身の成長であり、専門性を身に付けることに繋がります。

その3.世界を飛び回れる

私が感じた一番のメリットはこれです!! 私が大学院生の頃から海外出張に定期的に行くことができ、それが研究を続ける楽しみであり、モチベーションにもなりました!!

一見、不純??な動機に聞こえますが、これを楽しみにしている大学院生は少なくありません(ただし、海外出張できるのは博士課程の方が多いですね)。

研究していると、その成果を定期的に発表(報告)する機会があります。

それが学会や研究会です。

これらは一年に1~2回の頻度で定期的に国内外で開催されています。

多くの研究会に参加している人なら年に何度も海外出張する研究者も少なくありません。

特に海外で開催される研究会は、今年はイタリア、来年はカナダ…というように毎年開催地が異なることがほとんどで、特に人気の観光地で開催される時は参加者が増える傾向にあります。

しかも、実費ゼロで行けちゃいます(親切に日当まで出ます)。

さらに、研究会や学会への参加は研究活動の実績になるため、参加する意義は高いです。

≫ 大学院生は英会話を勉強したほうがいい|国際会議で痛感した英語の重要性

特に研究者を目指す大学院生なら、少しでも多くの研究実績を積むことが研究者としてのキャリアを作るためにも重要になってきます。

研究会参加のための海外出張は、私にとって海外旅行感覚でした(笑) とは言ってもその日のために日々の研究成果を積み上げ、出発前日まで発表資料を作るのに必死になっていました。

フランス、イギリス、カナダ、アメリカ、ニュージーランド、ベルギーなど、いろいろな国へ行く機会に恵まれ、それにより私自身の世界観がものすごく広がりました。

海外へ行くことへの”壁”や”不安”がなくなりました!!

異国の地で知らない人に片言の英語で自分の研究について話を聞いてもらい、50%ほどの理解力でディスカッションする、という経験が自信につながり、さらなる向上心を生み出す相乗効果となって、研究にいっそう励むことができました。

最後に:大学院進学か就職かで悩んでいるあなたへ

大学院進学のメリット
あなたは【進学 or 就職】のどちらかで悩んでいるんですか??

「Yes.」っと答えたあなたは、、無能かもしれません。

そもそも悩んでいる時点で大学院へ進学する価値がないかもしれませんね。

厳しいことを言ってしまい大変申し訳ないですが、これが事実です。

前途の通り、“積極的な理由”があれば大学院進学を悩む必要はありません。

その理由はシンプルで、大学院進学にメリットしかないからです。

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今まさに、時代が移り変わる過渡期にあると思ってください。

あなたの大学院進学への不安は、“取るに足る些細なもの”であることを理解していただけると幸いです。

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